続けたい気持ちは、こちらの都合として始まる

次につながる関係を作りたい。長く付き合える相手を増やしたい。
仕事をしていれば当たり前に出てくる願いですが、これは全部こちら側の願いです。相手が同じものを望んでいるかどうかは、別の話として残ります。

自分はサービスを、相手の負担を肩代わりすることだと考えてきました。
その基準で自分の願いを見返すと、少し具合が悪くなります。関係の継続を期待すること自体が、相手にとっては負担になりうるからです。次を匂わされると、断るという仕事が相手側に生まれます。

良いものを渡したい気持ちと、また会いたい気持ちは、自分の中では地続きでした。
受け取る側から見ると、この2つは別物なのだと思います。

続かないことを前提に作ってあるもの

レンタルサロンを運営しています。使う人のほとんどは、その日に来て、その日に帰ります。
常連になってもらうための仕掛けは、あえて置いていません。会員にする導線も、次回予約を促す声かけも作っていません。

これは集客を諦めているのではなく、気楽に使えることのほうが価値が高いと考えているからです。
1回だけ使いたい人が、1回だけ使って終われる。そこに引き止めが挟まらない。施術者にとっての「使いやすさ」は、たぶんそういう静けさのことを指しています。

UIを作るときも同じ基準で考えています。相手の脳のリソースをどれだけ使わせずに済むか。
関係の設計も、これと変わらないのだと思うようになりました。判断させない。含みを持たせない。次を期待しない。

期待しないことは、雑にすることではない

次がないと分かっている仕事ほど、丁寧にやる意味があります。その1回で受け取ったものが、相手の中に残る全部になるからです。

期待を外すのは、相手を軽く扱うためではなく、こちらの都合を相手に背負わせないためだと考えています。

続けるかどうかは、相手が決める

工事の仕事も、単発で終わるものが多くあります。
一度きりだと分かっている現場で手を抜けば、それはその人にとっての自分の全部になります。だから、次があるかどうかと、目の前の丁寧さは切り離して考えるようにしました。

そう決めてから、少し楽になりました。
関係が続かなかったときに、何かを失った気がしなくなったからです。もともと続きは相手が決めるもので、こちらが握れる部分ではありませんでした。

前に書いた「ありがとうを返したくなる関係」は、いまも自分の実感です。
ただ、あれは狙って作れるものではないのだと思います。次を期待しないまま、目の前のことを引き受け続けた結果として、たまたま続いたものだった。順番を逆にすると、たぶんうまくいきません。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。